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特別対談企画
〜裏でやってる芝居の人に会いに行ってみました〜

あひるなんちゃら関村です。
演劇の公演というのは、まあ、だいたい、いつもどこかでは行われているわけでして、自分の公演と同じ時期にも、たくさんの公演があるわけです、テレビで言うところの裏番組みたいな感じで。で、そういった公演は、ライバルというか、顧客を奪い合う敵みたいなものだと思っていたのですが、よく考えたら、そんなに敵でもないんじゃないか、っていうことに気が付きまして。だとしたら、同じ時期にやってる人と対談してみたりしたら、面白いんじゃないかなー、と思ったので、やってみました。

これが今後、公演のたびに恒例になるかどうかは定かではありませんが、1回目は、クロムモリブデンの主宰で脚本と演出をされている青木秀樹さんにお話を聞きに行ってみたのでした。どっちが裏か、といったら、クロムモリブデンが表であひるなんちゃらのほうが裏だろ、って感じですが、こころよく引き受けてくれた青木さんに感謝しつつ、ここに載せてみる次第です。

と、その前に、私と青木さんの関係を説明せねばなりません。青木さんが主宰をしているクロムモリブデンの役者さんに、何回か、あひるなんちゃらに出演していただいたことがありまして、その時に、見に来てくださいまして、それで挨拶させてもらって、その後は、特にそんなに交流することもなくて、2人きりで話す、なんていうのはこの日が初めて、という関係です。つまり、ほぼ他人、です。

1.対談スタート。


青木「ひょっとこ乱舞(現・アマヤドリ)の広田くんとも、この間、対談して。」
関村「なんか、らしいですね。」
青木「そう、させられて。」
関村「させられて。」
青木「ちょっと見ます?」
関村「あ、それは、パンフレットか何かに?」
青木「載ってんですよ。でかい顔で載ってんですよ。」

なんとわざわざそのパンフレットを持ってきてくれていました。や、やさしい。
で、見せてもらいました。ひょっとこ乱舞の最終公演記念のパンフレットでした。

関村「あ、しっかり写真まで、これ、売り物のパンフですか?」
青木「そう。10年くらいの歴史なのに、もっとかわいい女の子の写真とか載せてやればいいのに、一番でかいのが俺の顔。」
関村「あ、本当だ。他の何よりも…。」
青木「何よりも。一番でかいのが俺の顔。」
関村「おしてきましたねえ。…これはどういう経緯で、やることになったんですか?」
青木「それは、ひょっとこの最終公演のパンフってことでちょっと豪華にしたいから、対談を載せたいってことで、直接広田くんから。連絡があったのかな。」
関村「(パンフをよく見て)こんなしっかりしたヤツか…。」

この時、関村は、今回のこの企画のことに思い馳せていました。
豪華なパンフとかじゃなくてすみません。。。
しかし、そんな風に反省しててもしょうがないんで、
酒をガンガン飲んで、いろんなことを話そうと決意しました。

ここから先は、関村だけどんどん酔っ払っていっている、
と思って、読んでいただけると幸いです。

2.台本のこと。


関村「台本っていつ書いてるんですか?稽古の初めからあるって聞いたんですけど?」
青木「台本は、まあ、基本的には終わったらもう。」
関村「もう次の書き始める。」
青木「書き始めるっていうか、まあ、セリフは書けないけどね。」
関村「へえー。」
青木「遅いんでしたっけ?」
関村「うーん。普通です。」
青木「普通?」
関村「あ、今、書いてる途中ですけど。普通です。(もちろん現在は書き終わっております)」
青木「遅い人、多いじゃないですか。」
関村「多いっすねー。」
青木「劇団○○の△△くんとか。」
関村「ギリギリらしいっすねー。」
青木「台本はね、早いんですよ。2ヶ月前にはできてるんですよ。」
関村「それは凄いですよねえ。」
青木「や、それね、第一稿なんで。」
関村「あ、そこから書き直しを。」
青木「いくらでも書き直そうという腹なんで。そんな完成度の高いものは2ヶ月前には絶対できないんで。」
関村「ほう。」
青木「で、まあ、真面目に2稿とか3稿とか書いてたんですけど、最近もう、書き直さないで、演出で面白くなればもういいかな、って。」
関村「あはは。いいかな。って。あ、でも、僕も最近は、脚本がつまんなくても役者が面白ければいいかな、って。」
青木「ふふふ。なんか台本がガチガチ面白いと、台本読んでるみたいな芝居になるじゃないですか。」
関村「あー、ちゃんとやろうっていうか、台本どおりやらなきゃみたいな。」
青木「あー、台本が面白かったねー、みたいな。ちょっと欠けてるほうが。役者がなんとか…」
関村「埋めてくれるというか。」
青木「埋めてくれるんですよ。」

世の脚本家先生たちに怒られそうな戯曲論を交わしていますけども、
もちろん、脚本はちゃんと面白くなるように書いてるんですよ。

3.ゆにばのこと。


今度のクロムモリブデンの公演には、劇団員の方以外に、オーディションで選ばれた3人の役者さんが出演されるんですけども。そのオーディションで合格したうちの1人、ゆにば、という人だけ、関村は知り合いでして。で、この対談の前日に、予習として、青木さんのブログを読んでいたらそこに「ゆにばかのことは語りたくない。」と書かれていたので、あえて聞いてみました。

関村「今度、三人客演さん、オーディションでとったっていう。俺、ゆにばだけ知ってるんですけど。」
青木「あー、知ってるんだ。」
関村「ゆにばだけ知ってて。去年の12月に演出だけ頼まれた芝居があって。それもオーディションで…」
青木「あー、そうだそうだ、猫の会だ。」
関村「そうですそうです。その時に(オーディションに)来て、変なの来たな、と思ってとっちゃったんですけど。で、公演終わってから、次会った時には『今度、クロムモリブデン出ましゅ。』とか言われて。すごいとこ行ったなあと思って。でも、冷静に考えると、あの子、とりそうな劇団は…」
青木「クロムぐらいしかない、って?」
関村「そう、クロムぐらいしかねえな、って思って。いい嗅覚してるのかな、って、意外とあの子。でも、なんか謎の人ですよね、ゆにば。」
青木「うん。わかんない。なんだろうなあ。いいとこのお嬢さんなのかなあ、とか思う。いいとこのお嬢さんで何不自由なく育ったら、ああなるのかなあ、って。」
関村「あれをどういうふうにするのかなあ、と思って。あの子、大丈夫かなあ、って。今まで、そんな上からの視点でみたことないですよ、クロムモリブデン。」
青木「や、あのまま、使いますよ。あのまま。」
関村「あれを、あのままいかそうとする人って、青木さんくらいしかいないような気がするんですよ。」
青木「めっちゃおもしろいなあ、と思って。」

とりあえず、嫌われてはないようなので、安心しました。こんな風に言われている、ゆにば(芸名)がどんなヤツか気になった方は、クロムモリブデンを観に行けばよいかと思います。

この後、お互いの劇団の話をして、個人的には凄く面白かったんですけども、ここにその内容を書いても、誰も得をしないので、というか、僕と青木さんが損をするので、それも割愛します。

そして、そうこうしているうちに、酒がだいぶ回ってきました。(関村だけ)

4.演劇界のこと。


関村「音を超でかくかけようとか、ああいうのって、そもそも青木さんが言い出したんですか?」
青木「わりとあれなんですよ、映像学科なんで、映画とバンドやりたいな、みたいな。芝居人間じゃなかったんで。映画とバンドまぜたら、クロムモリブデンになりました。みたいな。感じで。本当に、演劇人じゃないっていう。演劇人じゃなくて、芝居が苦手で、演劇界にいると、非常に居心地の悪い気持ちよさがあるんですよ。凄く居心地悪いですよ俺、だから、(あんまり表に)出て行かないのもそれだけど、でも、なんか、行って、なんか、演劇界に俺を広めようという気がさらさらないから。あ、すいません、俺みたいな人間が劇団とかやっててすみません、ぐらいが気持ちいいんですよ。」
関村「気持ちいいんですか、まあ、なんとなくわかるような気は…」
青木「逆に映画とか音楽が好きなんで芝居やってますよっていうこと、映画のところとか行くと、俺なんか全然かなわないっていうか、俺の映画の知識とか、バンドやってるやつらに音楽の話しても全然かなわないし、演劇の人に言うと、ちょっと映画に詳しいですよとか音楽に詳しいですよとか。」
関村「ちょっとじゃないと思いますけどね。」
青木「そういう風に言って通用するから、居心地が悪いというか。だから、全然自分に向いてないところに行くのがいいような気がしますね。」

この話、関村はゲラゲラ笑いながら聞いてたんですけど、すげえいいこと言ってくれてたんだなあ、青木さん。と、録音したものを聞きながら、今、思いました。酒は飲んでも飲まれるな。

関村「演劇の人で、誰か、仲良い方います?」
青木「仲良い方は、あんまりいないんですよね。俺は、わりと仲良くなりたい派じゃないんですよ。」
関村「そもそもが。」
青木「1人が好きなんで。初日打ち上げとか、行かなくていいやみたいな。」
関村「なんか、1回だけ(クロムモリブデンの飲み会に)お邪魔したことあったじゃないですか、僕。」
青木「そうですよ、アレ、凄く珍しいパターンで。」
関村「そう、(青木さんが)いるの珍しいんだよ、ってスズちゃん(クロムモリブデンの金沢涼恵さん)に言われて。」
青木「そうそうそう。」
関村「今日は青木さんの凄い仲の良い人が来てるから珍しく来るって言ってたよ、って耳打ちされて、行ったんですけど、仲良い人いるなら喋る隙がねえよ、と思って。思いながらも、一応、お邪魔して、やっぱり喋れなかったんですけど。」
青木「あれは、大学のツレが3人くらい東京にいて。東京に来た時に、そいつらとはたまに会うことにしてて。たぶん、そいつらが来た時じゃないかな。」
関村「そいつらが来た時だけは打ち上げ行くみたいな。」
青木「でも、最近はね、そいつらと別の店に行く。打ち上げには行かずに。」
関村「やっぱあんま好きじゃないんですか?打ち上げ。」
青木「居酒屋がまずダメで。」
関村「おっしゃってましたね。」
青木「こことかはマシだけど、普通のやかましいところとか、なんであんな大きな声で、」
関村「あー。」
青木「喋っても聞こえないのに、劇場の人とかと喋らなくちゃいけなくて。」
関村「はははは。」
青木「そうですよねー、とか言ってんだけど、何言ってるかわかんないのに。で、なんですか?ってもう1回聞くんだけど、聞けるのは2回までで、もう1回は聞けないから、あーありますよねー、みたいなこと言ってんだけど、何言ってたのかわかんないんで、たぶん向こうもわかってないんだろうなと思いながらの会話が。」
関村「お互いよくわかってないのが。」
青木「だから、こうやってサシで二人で喋るのはわりと好きですけど。」
関村「ああいう、わーっといるような飲み会は。」
青木「で、そこで喋ってる内容がつまんないじゃないですか。役者が喋ってる内容が。」
関村「それは人によると思いますけど。」
青木「つまんなかったり、恋バナだったりするから。」

5.稽古後の青木さん。


芝居の稽古の後も、本番の後も、基本的には一番に帰るということだったので。練習の後も本番の後も飲みに行かなきゃ気がすまない私としては、何をしてるのか気になったので聞いてみました。

関村「さーっと帰る時は、もう、家に帰るんですか?」
青木「いや、うろうろする。」
関村「うろうろ。」
青木「うろうろする。自転車乗ってるのが好き。1人で自転車乗ってたり歩いたりしてる時に最近、1人で口に出して喋ってる時があって。」
関村「なかなか危ないですね。」
青木「街行く人が変な目で見てる。」
関村「それは音楽とか聴きながら。」
青木「いや、違う。」
関村「じゃなく。」
青木「じゃなく。」
関村「ただ1人で喋ってる。」
青木「何を喋ってるのかというと、ミーティングとかで言えなかった、今後のクロムモリブデンの方針とか。」
関村「あはははは。」
青木「稽古場で言えなかった演出とかを言ってて。それを次に言ったりして。」
関村「あ、それは、でも、メモ的なことなんですか。」
青木「あーなんでこう言えなかったんだろう、っていう思いがあって。」
関村「それを覚えておくために喋ってるみたいな?」
青木「ていうか、気になって喋ってる。」
関村「気になって。」
青木「考えてると、口に出してる。1回ワレタ(クロムモリブデンの奥田ワレタさん)に見付かったらしくて。」
関村「その様子を。」
青木「その様子を。稽古終わって帰る時凄い演出してた、路上で1人で演出してた、って。」
関村「あはははは。それは見られたくないですね。」
青木「恥ずかしい。」
関村「それ、見られてるって気付かなかったんですか?」
青木「気付いてない。」
関村「気付いてないんですか。」
青木「それ以来、稽古場では、みんなやさしい。」

6.次回作「進化とみなしていいでしょう」について。


青木「なんかね、社会派劇団でもなんでもないのに、心動かされるのは事件モノなんですよ。次もオウムなんですけどね。」
関村「今度のやつですか。あ、逃亡しててどうの、って書いてありましたね。」
青木「前回地震の話をしたんで。で、阪神の時(阪神大震災)も、地震の後にオウムあったんですよ。」
関村「あー、ありましね。」
青木「で、今回も地震の後に、またオウムがあって。」
関村「動きがあって。」
青木「なんだこの偶然は、と思ってるうちに。もうオウムはいいやと思ってたのに、いつの間にか、逃亡犯の話で。最初、平田容疑者のことだけで書いたのに、まさか、高橋容疑者も捕まると思ってなかったから。」
関村「そうか、書いてる時は、平田容疑者のことを…。」
青木「ことだけだったのに、捕まったから、タイムリーすぎて気持ち悪いというか。ちょっと作品、どうしようみたいな。あんまりあざとく付け加えてもしょうがないけど。」
関村「ふれないわけにはいかないな。と。」
青木「そう、ふれないわけにはいかないなみたいな状況になって、まだ、書き換えてないんだけど。どうしようかなあ。」

この後、どうなったんですかねー。

青木「阪神(大震災)の時ね、あれ1月で、3月にオウムが起こると、いきなり報道が地震のことやんなくなっちゃって。」
関村「そうですね。」
青木「で、地元、関西人としては、最初ちょっと、かっこよく怒ってたんですよ。」
関村「関西のローカル番組でもそうなっちゃったんですか?」
青木「や、それは、阪神のことは1年間っていうかずっとやってるんですけど、でも一気に、特に東京のは阪神のことなんか無視して。なんとなく関西人みんな怒ってたんですよ。怒ってたんだけど、結果、助かったな、みたいな。オウムのことで気がまぎれたみたいな。」
関村「あー、なるほど。」
青木「その思いが俺の正直な思いで、言っていいのかどうかわかんないけど、これ言ったら怒る人もいるだろうけど、けっこう、関西人の本音っていうか、あれで1年間、ずっと地震のことだったら、すごいテレビとか辛かっただろうな、と立ち直っていこうばっかりいうてたら、しんどかったけど。凶悪な事件がおきて、しかもあの事件だから。凄い気がまぎれたんじゃないか、っていうのが関西人の本音にあるんじゃないかなと。」

人によるかもしれませんが、こういう風に感じることもあるなんて、当事者にしかわかりませんからね。まさか、この対談でこんな真面目な話が出るとは思いませんでしたけども、いい話を聞けました。

青木「全然社会派じゃないのに、事件モノに弱い。」
関村「社会派みたいになっちゃってるんですね、結果的に。」
青木「うん。凶悪な犯罪を笑い飛ばすみたいな作風になっちゃう。」
関村「してるんじゃなくて、なっちゃってるっていうのが面白いですねえ。」

この後、さらに数時間、話をさせてもらったんですけども、酔えば酔うほど、ひどい話の割合が増えていき、主に僕の好感度が下がるに違いないので、ちょうど、公演の話も出て綺麗にまとまったところで、終わります。これを読んで、クロムモリブデンとあひるなんちゃらに興味を持っていただければ幸いです。
あひるなんちゃらの話が全然出てこなかったのは、僕が酔っ払って、この対談をエンジョイしすぎて、あひるなんちゃらについて話をすることをすっかり忘れてたからです。でも、興味持って!お願い!

といったわけで、青木さんのクロムモリブデンの次回公演は2012年7月28日〜8月14日、
赤坂RED/THEATERにて。詳細などはクロムモリブデンのwebサイトにてご確認ください


そして、私関村のあひるなんちゃらの次回公演は2012年8月3日〜7日、下北沢 駅前劇場にて。
公演情報はこちらです。


どっちもよろしくお願いします!