Special Interview

あひるなんちゃら約20,000字インタビュー

2012.2.24

独特のゆるさ、心地よい不条理感覚でファンの心をつかんで離さないあひるなんちゃら。あくまで「笑いあり涙なし」のスタイルに徹しつづけるその真意とは?演劇とプロレスに通じるものとは?劇団結成10年目をむかえる彼らの素顔に迫るべく、作・演出の関村俊介さんにお話を伺いました。

※この記事は2012年2月に「演劇NAVI」に掲載されたものです。

関村俊介

よろしくお願いします。

関村:
よろしくお願いします。あの、20,000字も話せますかね?嫌とかじゃなくて、なんか心配なんですよ。で、試しに前々回の公演の脚本の文字数を調べて来たんですけど…。

今回のじゃないんですか?

関村:
あ、今回の脚本がまだ出来上がってないと思いました?

思いました。すみません。

関村:
大丈夫です。今回のは出来てます。本当です。信じてください。

信じます。

関村:
でも、ちょっと文字数を調べるのが面倒だったというか、あの、文字数を普通に数えるのはちょっと難しいじゃないですか。難しいっていうか時間の無駄じゃないですか。だから、パソコンに数えてもらったんですけども。今回のは、まだ、ちょっと、パソコンが数えられる状態じゃないっていうか、余計なことがたくさん書いてある状態っていうか。そんな感じでして。なので、前々回のにしたんですけど。それが、だいたい27,000字でした。僕の脚本はたぶん、小劇場の脚本の中でも文字数が少ないほうだとは思いますけど、27,000字使って書いてることについて、20,000字も話しちゃったら、ほぼ全部話すことになるんじゃないか、っていう。そういう不安があるんですよ、今日。

大丈夫です、今回の公演のこと以外も聞きますから。

関村:
よかった。なら安心です。

最初に、演劇を始めるまでの話を聞きたいんですが。始める前は、いつくらいから演劇に興味があったんですか?

関村:
始める前は全く興味がなかったんですよ。学校で観させられるの以外、観たことなかったですし。始めるまでは、小劇場の存在さえ知らなかったです。あの、池袋にグリーンっていう劇場があるじゃないですか。あれの目の前に駿台予備校があるんですけども、高校生の頃、その駿台に行ってたけど、グリーンが何をやってるところなのか知らなかったです。あれの中で演劇をやってるとは夢にも思わなかったし、未来の自分がそこに行ったりするような人になるとも思ってなかったです。

全く、興味のないところから何故始めたんですか?

関村:
大学に入って始めたんですけど。僕、どうしても一人暮らしがしてみたかったんで、絶対に東京の実家から通えない大学に行こうと思って、福岡にあった、九州芸術工科大学、っていう大学に入ったんですよ。

福岡にあった、っていうことはその大学、今はないんですか?

関村:
はい、今はもうないんです。これ、話すとシャレみたいになっちゃうから、あんまり言いたくないんですけど、九州大学に吸収されて、今は、九州大学の芸術工学部、とかになってると思います。で、名前に芸術って入ってますけど、バリバリ理系の大学でして、芸術的な才能があっても入れない大学なんです。逆に芸術的な才能がなくても物理ができれば入れる大学でして。もっと言えば、英語ができなくても入れたんですね。2次試験が、数学と物理のみで。で、高校生の頃、本当に物理と数学しかできない子だったんで、家から絶対通えなくて受かりそうなところがここしかなかったんですよ。っていう、本気でそこで学ぼうと思った人には申し訳なかったな、って今では思うような理由でそこの大学に行ったんですね。

国語もできなかったんですか?

関村:
あんまり得意じゃなかったですね。今、脚本とか書いてるのが自分でも不思議です。ま、そんな高校生がですね、大学に受かりまして、福岡に一人で住み始めたわけです。で、入学式の日に、学校にある桜の木の下で、花見をしている集団がいたんですよ。そこにね、入学式で仲良くなった同級生と一緒に参加したんです。そしたら、その花見が、あんまり面白くなくて。大学って思ってたのと違うなあ、とか思ったんですよ。で、次の日に、学校を歩いてたら、また花見をやってたんですよ。昨日とは違う集団が。しかも、今度は、なんか可愛い女の人が手招きしてるんです。「花見やってまーす。新入生歓迎でーす。」とか言って。これだ!と思って。

昨日、なんか違ったのは、可愛い人がいなかったからだ、と。

関村:
そう!そう思って、その花見に参加したんですよ。そしたら、それが、演劇部関係の花見だったみたいで。翌朝気付いたら演劇部に入ってました。今思えばね、その可愛い人、声出てたもん。「花見やってまーす。」が腹から声が出てた。そこで、演劇だな、って気付いてたら花見にも行ってなかったと思います。あ、わかんないな、どうかな。

じゃあ、その時点で、まだ演劇のことは全く知らないわけですね。

関村:
ええ。花見で、一人、凄く仲良くなった男の先輩がいて。ゲームが好きっていうだけで、仲良くなったんですけど。その人が、演劇部入れば?、みたいなこと言ってくれたので、はい!入ります、みたいな。そんなノリで入っちゃっただけですから。

演劇部では、何を担当してたんですか?

関村:
最初は、その花見の時に仲良くなった先輩が照明の人で、照明やりなよ、って言われてそのつもりだったんですけど。その先輩が、演劇部の公演がある頃には、演劇部辞めてて。

入りなよ、って言った人が辞めちゃってたんですか。

関村:
ビックリしましたよ。今から今度の定期公演についての話し合いをします、みたいな集まりに行ったら、いないんですもん。で、それの前に、なんか、他の先輩が公演やってたのを手伝った時は、小道具作りを手伝ってたんで、演劇部の公演では、とりあえず小道具をやることにしたんですよ。

小道具ですか。

関村:
あんまり工作とか、得意じゃなかったんですけどね。ま、演劇のこともよくわかんないし、小道具だったら作れなかったら買えばいいだけだし。とか思ってて。ま、実際は、無いから買う、みたいな金は当然無いわけで、できるだけ手作りするわけですけど。それで、先輩のお気に召さないものができあがったりしてね。やー、あれはね、難しい仕事ですよ。もう、今は怖くてできない。

その後は?

関村:
その次は、役者ですね。あ、違うわ。小道具やってた公演で、踊ったんだ。

踊った?

関村:
ええ。なんか、ダンスがある芝居で。ダンスの人数が足らなかったかなんかで「踊ってみる?」って言われて。ま、踊りももうできないっすね。恥ずかしくて。当時はまだ若かったから、踊れと言われれば踊りましたよ。で、踊ったことで「こいつは、人前に出るのが平気なほう」って思われたんでしょうね。Kさんっていう先輩が大学とは別でやってた劇団があって。「それの公演にちょっと出てみる?」って、言ってくれて。「出てみます!」みたいな。恐れを知らなかったんでしょうねえ。

関村さんは、なんでもやってみる、みたいな人なんですか?

関村:
や、そんな人間ではないんですけどね。それは、あれです、その誘ってくれたKさんの劇団を観たら面白かったんで、それに出れるのは嬉しいなあ、って思ってです。あ、そういえば、そのKさんの劇団が、あれですね、たぶん初めて観た小劇場の芝居です。劇場じゃなくて野外でやってましたけど。

なるほど。

関村:
それで、出てみたら、まあたぶん物凄いヘタクソだったと思いますけど、楽しかったんで、それからは役者をやることにしたんです。って、こんな話ばっかりでいいんですか?

20000字ありますから。でも、じゃあ、ちょっと、違う質問を…。あひるなんちゃらさんのブログでたまに漫画を紹介してますよね?やっぱり漫画がお好きなんですか?

関村:
そうですね。漫画大好きですね。子供の頃は漫画家になりたかったです。絵心が全くないので、描こうとしたはないですけど。

ちなみに、どういう漫画を読むんですか?

関村:
うーん。最近は雑誌を買わなくなりまして、っていうのは、ズボラな性格なので、漫画雑誌を買うとあっという間に、部屋がゴミ屋敷みたいになるからなんですけど。なので、最近は、ずっと買ってる作品の新しいのが出たら買うのと、あとは、本屋で適当にジャケ買いして、気に入ったら、その漫画家さんのをどんどん読む、っていう感じです。

今、買ってるのは?

関村:
えーと。全部は思い出せないけど。最近はわりと普通ですね。「ONE PIECE」「はじめの一歩」「美味しんぼ」「へうげもの」「HUNTER×HUNTER」「Sunny」「カイジ」「アカギ」「ヴィンランド・サガ」「星屑ニーナ」「少女ファイト」「第七女子会彷徨」「ジョジョリオン」「宇宙兄弟」「ヒストリエ」「ピアノの森」「僕の小規模な生活」「それでも町は廻っている」「アオイホノオ」「リューシカ・リューシカ」「ハトのおよめさん」「浦安鉄筋家族」「無限の住人」「おやすみプンプン」「3月のライオン」…うーん、他にもあるけど、西原理恵子先生のとか。古泉智浩先生とか。山本直樹先生とか。あ、あと、小林じんこ先生のとか!わりと有名なのばっかりでしょ?

何作品かは知らなかったですけどね。では、子供の頃に好きだったのは?初めて買った漫画も教えてください。

関村:
小学生の時は断然「キン肉マン」が好きでしたね。初めて買ったっていうか買ってもらったのは、キン肉マンの16巻。アシュラマンを倒して、悪魔将軍を倒すためにキン肉ドライバーを開発する巻です。

よく覚えてますね。

関村:
さすがに、初めて買ってもらったのくらいはね。記憶力無いんですけど、それは覚えてます。小学生の時は、あとは、岡田あーみん様にめちゃめちゃハマってましたね。

岡田あーみん?

関村:
あ、少女漫画、っていうか、少女漫画雑誌で描いてた漫画家さんなんですけど。ギャグ漫画です。同世代の女の人はだいたい知ってるような漫画家さんです、男はあんまり知らないかもしれないけど。ギャグ漫画が好きでしたね。「ドラゴンボール」より「Dr.スランプ」のほうが好きだったし。

思春期は、どういった漫画を読んでたんですか?

関村:
中学入ってからは、ヤンマガ(週刊ヤングマガジン)にめちゃめちゃ傾倒してて。その当時だとヤンマガで有名なのは「行け!稲中卓球部」ですけど、僕は、稲中より「パパと踊ろう」とか「日直番長」のほうが好きでしたね。あ、そうだ、さっきも名前出しましたけど、小林じんこ先生の作品が、当時「りなことお兄ちゃん」っていうのがヤンマガでやってて、それ、途中で終わっちゃったんですけど。凄い好きで。小林じんこ先生のそれ以前の作品を古本屋で探して買って。「風呂あがりの夜空に」っていう作品なんですけど。これは、僕のバイブルですね。今でも、ちょいちょい読み返します。

その後は?

関村:
大学入ってからは。それまで読んでたのに加えて、ジャケ買いが始まりましたね。でも、高校生の頃よりは漫画買わなくなりましたね。お金が無くて。

高校生の頃はあったんですか?

関村:
もちろん無かったですけど。高校の時は、昼飯を我慢して、親にもらった学食で使うはずのお金で買ってたので、大学生の頃よりは漫画を買えてたんです。大学生の時は一人暮らしだから、昼飯我慢しても晩飯が必ず食える、って保証がないですし。これ、親に読まれたらまずいな。ま、いいか。

話がちょうど大学時代に戻ってきたので、また演劇の話に戻しますね。先輩の劇団で役者をやって、それからは役者をやるようになったところまで聞かせてもらいましたけど、それから、脚本を書いたり演出をしたりするようになるまでの過程を教えてください。

関村:
えっと。しばらくは役者だけやってたんですけど。三年生になった時にですね。あ、うちの大学の演劇部は三年生までで引退っていう決まりだったんで、三年が最上級生なんですね。で、演劇部の公演は、脚本を書きたい人が書いてきて、それのうちどれをやるか投票で選ぶっていうシステムだったんですけど、三年生で脚本書きそうな人がいなかったんですよ。これはまずいな、って自分で思ったのか部長のヤツに言われたのか忘れちゃいましたけど、じゃあちょっと書いてみようかな、ってなって。それで、結局、もう一人書いてきたヤツがいたんだけど、僕が書いたのをやることになったんです。で、演出も自分でやることになって、っていうか、当時のうちの演劇部は脚本と演出を同じ人がやるのが当たり前っていうか、そうじゃないパターンがあるとかよくわかってなかった。

でも、いきなり書けるものなんですか?

関村:
どうですかね、少なくとも僕は、書けてなかったと思いますよ。もう、脚本も残ってないし、映像も持ってないんで、確認しようがないですけど。特に笑いが、全然うまく書けなかったのを凄く覚えてます。なんか、役者としては、笑いが得意だったので、っていうか、当時はふざけることくらいしかできなかったんで、でも、笑いとか取れてたんで、そういうの書けばいいんでしょ、くらいに思ってたんですけど、全然うまく書けなかったんですよねえ。

現在の、あひるなんちゃらは笑い中心ですよね。

関村:
そうですねえ。その頃から笑い中心にやりたかったんですけど、本当、その時は、うまく書けなかったんですよねえ。

でも、それをきっかけに、脚本と演出をやるようになったんですね。

関村:
あ、それは違ってですね。それから、しばらくは芝居の脚本書いてないんですよ。5年とかかな。もっとかな。いろいろあって。

具体的には?

関村:
その初めて脚本書いた時にですね。僕の脚本をやることに決まった時点では半分も書けてなかったんですよ。なので、部室みたいなところで、続きを書いてたんですね、ずっと。でも、その公演があったのが五月とかで、脚本書いてたのが三月末から四月で、四月は新入生とか入ってきて、例の僕が演劇部に入部させられた花見とかあるわけですよ。その時も、僕は脚本を書いてたわけです。その横ではみんなが、一年生の女の子とかと楽しそうにしてるんです。

つらいですね。

関村:
でしょ?で、そのうち、誰と誰が付き合うことになっただとか、そういうことが起って。いや、別に、付き合ったっていいですし、僕は当時彼女がいたんですけど。でも、なんか「ずるいぞ!」って思って。

別に自分もそこで彼女作りたいわけじゃないけど、ずるいぞ、と。

関村:
はい。それに僕が脚本書いてる横でやることないじゃないですか。で、凄い腹が立って。最終的には「部内恋愛禁止!」って貼り紙しましたもん。ま、別に、部長でもなんでもなかったんで、そんなのは誰も守ってくれなかったですけどね。あ、それだけで書かなくなったわけじゃないですよ。

安心しました。

関村:
そういったことがあったものの、まあなんとかその公演は終わって。で、次の演劇部の公演がまたあって、それで引退になるんですけど。その時もまた、脚本書きたい人が書いてきて投票で決めるっていうので、一応書いたんですけど、普通に投票で負けたんですよ、しかも二年生に。で、こりゃ才能もないみたいだし、書いてると書いてない人がずるいし、って思って。もういいか、ってなったんです。

簡単にやめましたね。

関村:
そうですね。簡単にやめちゃいました。そもそも何かをコツコツやるのが苦手なんですよ。で、演劇部を引退してからは、ちょっと普通の演劇と違うことをやろうと思って。考えて、思いついたのが、演劇の言葉だとインプロって言うやつに近いようなことで、当時はインプロなんて言葉も存在も知らなかったんですけど、脚本がなくて、進行表だけあって、ほとんどアドリブでいろんなことをやるっていうような、そんなのをやってみたいなあ、って思いまして。

劇団を旗揚げしようと思ったわけですね。

関村:
旗揚げしよう、っていうか、先輩に旗揚げしてもらおうと思ったんです。でも、そういう誰かにどうにかしてもらおうみたいな発想で、先輩だけに相談しちゃったのが災いして、先輩たちに「お前が主宰な」って決められて、主宰にさせらちゃったんです。リーダー的なこと、すごく苦手なのに。ま、おかげさまで、別にリーダーがちゃんとしてなくてもどうにかなる、ってことを知れたのでよかったですけど。ま、そんな団体を、あひる実験室、って名前で、ずっとやってて。それもあって、脚本は書かなくなったんです。進行表はよく書いてましたけど。

そこから、どういうきっかけで脚本を書くようになったんですか?

関村:
えーと、うーん。長いけど、いいですか?

もちろん、いいです。

関村:
そうですか、本当に長いですよ。…まあ、そんなこんなで、なんとなく演劇部じゃなくなっても演劇は続けてたんですね。あひる実験室をやりつつ、初舞台を踏ませてくれたKさんの劇団にも出続けてて。でも、なんていうか、一生芝居やるんだ!みたいな感じでもなかったんですよね。かといって、辞める理由もなかったんですけど。で、ある時にですね、Kさんが突然、東京に行く、って言い出したんです。東京に引越して東京で芝居やる、って。それで当時その劇団に関わってたみんながそれぞれ悩んで、東京について行くか、ついて行かないか、もっと言えば、ついて行かないなら福岡で芝居を続けるか、芝居をやめるか、そういう決断をしたわけなんですが。そうなると、僕だけ凄い中途半端な存在じゃないですか。

というと?

関村:
僕だけ、実家が東京にあるんです。

あー。なるほど。

関村:
だから、何も決断しなくてよかったんですよ。東京で芝居やる時だけ里帰りすればいいんだから。なので、何も考えずに、東京でも、Kさんの劇団に出続けさせてもらうことになるわけです。

なるほど。で、それからどうなったんですか?

関村:
それで。そんな生活をしてたんですけども。環境が徐々に変わっていくわけですよ。あひる実験室のほうも、みんな就職したりとか、実家に帰らなきゃいけなくなったりとか。で、僕も、ついに親が怒りましてね、大学も卒業しないし、遊んでるだけじゃねえか、帰ってこい、と。それで、しかたなく、東京に帰ってきたんです。そうなると、あひる実験室もだんだん公演をしなくなっていくわけです。あ、でも、いまでも解散してないんですけどね。で、そんな時期にですね、Kさんの劇団に出るのをやめたんですよ。

それは何故ですか?

関村:
えー。まあ、いろいろと、嫌になっちゃって。嫌になっちゃってっていうのも違うのかなあ。なんかこのままじゃまずい、っていうか。なんか、簡単に言うと、その劇団に出てて好きだった役者さんたちが、どんどん、その劇団に出なくなっていっちゃって。あ、俺もそうしたいと思ってた、みたいな。うまく言えないですけど。

憎しみあって一緒にやれなくなったみたいなのでもないんですね。

関村:
そうですねえ。ま、Kさんは、俺のこと憎んでるかもしれないですけどね。

というのは?

関村:
Kさんのところに出なくなって、しばらくして、あひるなんちゃらを始めたんですけど。最初の頃は、Kさんの劇団に出なくなった役者さんたちで芝居してたから、引き抜き、と思われてもおかしくなかったっていうか。別にそういう意図だったわけじゃなくて、僕が呼べる役者さんがそこで出会った人しかいなかっただけなんですけどね。

なるほど。話が前後しましたけど、どういった経緯であひるなんちゃらを始めたんですか?

関村:
Kさんの劇団に出なくなったら、まあ、当然、演劇をやる場がないわけですよ。知り合いの劇団に出させてもらったりもしたんですけど、基本的には、暇だったんですね。そしたら、ある友人に、ちょっと売れないお笑い芸人の人とお笑いライブをやるんだけど手伝わない?、って言われまして、コントを書くことになったんですよ。芝居の脚本は書いてなかったけど、コントはちょいちょい書いてたんで。で、そのライブの話が進んで行くうちにですね、僕を誘った友達が、やっぱり俺できないわ、みたいなことになって。結局、演出とかも僕がやることになって。まあ、やったんですよ。その時に、他にも役者が必要だぞってなって、Kさんのところに出なくなってた何人かに声かけて出てもらったりして。それで、なんか、そのライブがわりとうまいこといったんですよ。で、それで僕が調子にのって、芝居もやってみようかな、ってなってですね。俺脚本書くから芝居やらない?とか言って、役者さんを集めてですね、あひるなんちゃらを始めたんです。

ついに、脚本書きましたねえ。

関村:
はい。本当、長くてすみません。

いえいえ。その時は、どういう芝居をやろうと思われたんですか?

関村:
自分が出たい芝居をやろう、っていう感じですかね。最初は自分もたくさん出番があったりしました。今はもう、たまーにしか、自分がたくさん出るような芝居はしませんけどね。

それは、どういった心境の変化なんですか?

関村:
やってるうちに、呼べる役者さんも増えてきて、役者のレベルもあがってきたんで、自分が出る必要性をあまり感じなくなったんです。だから心境の変化っていうより、環境の変化ですね。ま、でも、芝居って、うまいとかへたとかじゃない部分もありますんで、自分が出るべきと思ったら出ます。

役者を選ぶ基準とかあるんですか?

関村:
あひるなんちゃらでは、明確にありますね。

どんな基準ですか

関村:
俺よりはうまい、と俺が思う人であることです。僕が思うっていうのがポイントですね。別にみんなにうまいと思われてなくてもいいんです、僕がうまいと思ってれば。

それはなにか理由があるんですか?

関村:
僕は人間ができてないんで、そう思える役者じゃないと、演出してる時に偉そうになっちゃうからです。

でも、演出って偉いもんじゃないんですか?

関村:
そうですか?僕は偉いと思ってないんですよ。演出って、脚本もそうですけど、スタッフの1人でしかないですから。もちろん、演出はいろいろ責任とらなきゃいけないポジションだし、人に指示を出したりしなきゃいけないですけど、偉いみたいな感じは違うかなあ、って思います。なんか、いつの間にか、ずいぶんマジメな話になってません?

あ、そうですね。別に私はそれでもいいんですけど。では、少し、くだけた質問をしましょうか。

関村:
お願いします。マジメなこと考えると、イー、ってなっちゃうんで。

わかりました。では、好きな食べ物は?

関村:
くだけましたねえ。僕の好きな食べ物とか、誰も興味ないでしょう。あ、それ言ったら、このインタビューの存在意義がなくなっちゃうか。

むしろ興味を持ってもらうためのインタビューですから。

関村:
わかりました。好きな食べ物は、春巻きです。やっぱ、どうでもよくないですか?この質問。エピソードとかもないし。

では、嫌いな食べ物ではどうですか?なんかエピソードとかあります?

関村:
あ、それならあります。

よかったです。

関村:
嫌いな食べ物はたくさんあるんですけど。エピソードがあるのだと、シーチキンが嫌いです。

どんなエピソードですか?

関村:
子供の頃は好きでも嫌いでもなかったんですけど。たぶん大学生の頃か、大学辞めたあたりの頃にですね。後輩の家で酒を飲むことになったんですね。その日は本当に2人とも金がなかったんですけど、なんとか飲もうとして、後輩の家の下が酒屋で、そこに行って、そこで最も安い酒だった1升で980円の日本酒を買ったんですよ。そしたら2人で残金が100円くらいしか残らなくてですね。それを持って、スーパーに行ったら、シーチキンが3缶で98円とかで、これだ!、ってなりましてね。それを買って、後輩の家に戻ったわけです。で、そのシーチキンに、マヨネーズかけたり、醤油かけたり、ゴマをかけたり、様々な工夫をして、それをつまみに、日本酒を飲んだんですよ、全部。シーチキンだけで。そしたら、翌日、2人とも明らかに顔色がおかしいんですよ。目の白い部分もなんか黄色っぽくなってて。しかも、普段なかなか二日酔いにならないのに、その日はとんでもなく気持ち悪くて。それ以来、シーチキンは見るだけで気持ち悪くなっちゃうんです。

シーチキンは何も悪くないですね。

関村:
はい。そうなんですけどねえ。それだったら、日本酒が嫌いになりそうなもんですけどね。酒は憎めないです。

そうですか。お酒はよく飲まれるんですか?

関村:
まあ、それなりに。でも、家ではほとんど飲まないです。昔は自分がお酒が好きだと思ってたんですけど、最近、自分が本当にお酒が好きかわかんなくなってきました。

どういうことですか?

関村:
いやー、たぶん、好きなのは飲み会なんだと思うんですよね。

お酒は強いんですか?

関村:
強いのかどうかわかんないです。弱くはないと思います。あんまりべろんべろんになるまでは飲まないんで、限界を知らないんですよね。吐いたこともまだ2回くらいしかないし。

芝居の打ち上げとかでもですか?

関村:
はい。打ち上げは、だいたい疲れちゃってるから、酔っ払う前に眠くなっちゃいます。

吐くまで飲んだのは、どういう時でした?

関村:
あー。強烈に覚えてるのは、高校の同窓会で吐いた時ですね。まだ20代前半で。それの会場が高校の学食で、そこで飲めるっていうのがなんか楽しくてですね、飲みすぎたんです。で、大学で九州に行ったもんだから、酒といえば焼酎ってなってて。今も、焼酎ばっかり飲んでるんですけど、まあ、そんな状態だったんで、高校の同窓会でも焼酎飲んでたんですよ。しかも、焼酎飲む人が先生とかにもいなかったんでしょうね、用意されてた焼酎が安い、なんかレモン汁とかで割らないと飲めないような、そういうやつで、それをロックでガンガン飲んでたから簡単に悪酔いしちゃって、トイレで吐いちゃったんですよ。で、ここからが凄い強烈に覚えてるところなんですけど、トイレで吐いてるのに、先生がトイレのドアをノックするんですよ。凄い叩くんです。ドンドンドン!「トイレ入ってるのは誰だ?」とか言いながら。さすがに返事しないわけいかないから「すみません、関村です。吐いてます。」とか返事して。そしたら、ドア叩きながら「関村か!吐いてるのか!?おい!ビンゴ始まるぞ!」って言われたんです。

ビンゴ、って。

関村:
吐きながら、先生ってバカなんだな、と思いましたよ。今にして思えば、あれが大人になった瞬間だったのかもしれませんね。あ、すみません、完全に思ってもないこと言っちゃいました。

そろそろ、芝居の話に戻してもいいですか?

関村:
あ、いいですよ。

さきほど聞かせていただいた感じだと、なんとなく脚本を書き始められたようですが、現在の独特な作風はどこからきていると思われますか?

関村:
えー?うーん。どこからきてるんでしょうね。よくわかんないです。自分ではそんなにまだ独特になれてると思えなくて、もっともっと、って思ってるんですけど。たまにそう言ってくれる人がいるのは、やっぱり、演劇が好きだから始めたっていうスタートじゃないから、なんていうか、微妙に演劇っぽくないというか、演劇のルールから外れてることがあったりするので。そう見えてたりするのかなあ、って思います。

例えば、影響を受けたお芝居とか、どういったものがありますか?

関村:
うーん。芝居からはあんまり影響を受けてないように思います。

あんまり観ないんですか?

関村:
いや、それなりには観ますけど。これ凄い面白いな、って思ったら、それに似ないようにしようと思うし。つまんないな、って思っても似ないようにしようと思うし。だから、ある意味影響受けてるんだけど、わかりやすく影響を受けてたりはしないんだと思います。

テレビの影響は?

関村:
テレビは、影響受けてるっていうか。テレビってすごいいろんな制約があってやってるじゃないですか。だから、もうちょっとで面白いのに、っていうことがたくさんあるんですよ、観てると。そういうのを、よくメモしてます。

なるほど。では、脚本を書く時に意識してやっていることなどありますか?

関村:
演劇を好きじゃない人とか、観たことが無い人とかにも楽しんでもらえるように、っていうのを考えますね。あと、演劇の嫌なところ、っていうのが僕にはあって。それを避けて脚本を書きます。

演劇の嫌なところですか。

関村:
はい。わかりやすいのだと。そんなにかっこよくない人がかっこいい役やってるとか。かっこいいとかなんて、個人的な趣味もあるから、なかなか観てる人全員が「かっこいい」って思ってくれないじゃないですか。だから、僕が観客の時に、それをやられると、観てて集中できないんですよ。そいつがそんなにモテるわけねえよ、とか思っちゃって、全然話が頭に入ってこなくなっちゃう。だから、そういうのすっごい嫌なんですよ。だったら漫画読むよ、ってなっちゃうんですよ。これは演劇をたくさん観ない人もそうなると思うから、そういうことはやりたくないわけです。そういうのがたくさんあって、それを全部避けながら脚本を書いてる感じですね。

では、逆に演劇の好きなところってどんなところなんですか?

関村:
そういう嫌なところ以外ですかねえ。演劇だからできることっていうのがたくさんありますから。それに、やっぱり、結果が目に見えるのがいいですよね。何人観に来てくれたのか、とかもそうだし、楽しんでもらえたかとかもそれなりに直接わかるし。あ、ごめんなさい、すげえ普通のこと言っちゃった。

普通のことで大丈夫ですよ。

関村:
そうですか。

テレビはどういった番組を見ますか?

関村:
バラエティばっかり観てます。あとたまにアニメ。それ以外は、イライラするからほとんど観ないです。バラエティもイライラするのは観ないですね。

そんなにイライラしますか?

関村:
ニュースは、成人式の時に必ず荒れた成人式の様子とか流すじゃないですか、ああいうのイライラしません?わざわざ観たくないよ。って。連続ドラマは、演劇に慣れてるからだと思いますけど、だいたい展開が遅いなって思っちゃってイライラするし。情報番組は同じようなことばっかりやっててイライラするし。映画は途中でCMがない前提で作ってるものだから、CMが入るだけでイライラするし。2時間ドラマは推理する人がもったいぶるからイライラするし。歌番組は興味のないアーティストの時にイライラするし。スポーツはイライラするのが醍醐味みたいなところがあるし。このあとすぐ、って言ってすぐじゃないとイライラするし。俺、病気ですかね?

ギリギリだと思います。

関村:
ギリギリか。ギリギリセーフならいいか。

ギリギリアウトですよ。

関村:
ええ!?ま、でも、完全にアウトじゃないなら、セーフかもしれないからいいです。

冗談です。すみません。失礼しました。

関村:
や、それくらいくだけてくれたほうが助かります。

漫画以外で好きなものとかは?

関村:
漠然としてますねえ。

ですよね。あ、では、今買われてる雑誌はありますか?

関村:
今は、週刊プロレス、しか買ってないですね。

プロレスですか。

関村:
あ、お嫌いですか?

好きでも嫌いでもないですが。演劇の人ってプロレス好きな方多いですよね。

関村:
そうですね。通じるものがあるからじゃないですかねえ。人前で何かする、っていう。

プロレスのどういうところがお好きなんですか?

関村:
単純に、面白いと思うんですけど。

プロレスはイライラしませんか?

関村:
します。

あ、それはするんですね。

関村:
ええ、病気ですから。

そうでした。好きなレスラーは?

関村:
え?でも、知らないですよね?

このインタビューを読む方は知ってるかもしれませんから。

関村:
あ、そうか。川田利明選手が好きですねえ。今は休業中ですけど。今バリバリの人だと、諏訪魔選手が好きです。諏訪湖の諏訪に、悪魔の魔、って書くんですけど。

悪魔の魔、ですか。悪役のレスラーですか?

関村:
ちょい悪かな。一時期、本当に悪役になってて、それで魔ってつけてたんですけど、悪役をやめたのに、名前を戻さなかったんですよ。で、悪役じゃないんだけど、たまに悪いこと言ったりやったりするんですよ。そういうところが面白いなあ、って思って、あと、見た感じ、強そうなんですよ。実際めちゃくちゃ強いんだと思うんですけど。

チャンピオンですか?

関村:
今はチャンピオンじゃないんだけど。本当は一番強いんじゃないか、って思わせるようなところがありますね。いやあのね。プロレスって結果決まってるだの決まってないだの、って言われがちじゃないですか。それをふまえてどう見るかっていうのがね、プロレスって面白いなと思って。僕は、結果が決まってない、と思って見てるんですけども。諏訪魔が負けた時だけ、結果決まってたんだ、って思うようにしてるっていうか。

なんですか?それ。

関村:
例えば、サッカーのワールドカップがあって日本が負けるとするでしょ。そうすると、あー日本弱いのかなあ、って悲しくなりますよね。スポーツってだいたいそうじゃないですか。応援してるチームが必ず勝つわけじゃない。プロレスもそうですけど、プロレスは応援してる選手が負けた時に「でも、本当は負けてない!あいつのほうが強い!」って思いこめるから、いいなあ、って思うんです。そういう風に楽しんでもらう為に、八百長だよあんなの、って言われるようにプロレス業界がわざと仕向けてるんじゃないか、とすら思います。

はあ。

関村:
実際のところ、結果って決まってないはずなんですよ。だって、途中で怪我しちゃったら絶対勝てませんから。結果を完全に決めちゃってたら、戦えないでしょ。手加減したって、怪我する時はしますからね、あんなことしてたら。

確かにそうですね。

関村:
でも、もしかしたら、結果が決まってんじゃないか、っていうところが楽しめるポイントのような気がするんです。

そういうことですか。

関村:
たぶん、そういう、わかんない、みたいのが好きなんだと思います。演劇もそうだし。

というと?

関村:
演劇だって、セリフ間違えるかもしれないでしょ?人間がやってるんだから。演劇は基本的には全部決まってんだけど、決まったとおりに進むとは限らないんですよ。決まったとおりに進むことがほとんどで、っていうか、決まったとおりに進まなきゃいけないんですけども、でも、そうとは限らないのがね、やっぱりライブでやってる意味というか、面白みのところで、ドラマとか映画と違うところんですよね。毎日、まったく同じものにはならないですし。常に、もしかしたら予定通りじゃないかもしれない、っていう要素をはらんでるっていうか。

でも、予定通り進まないと困りますよね?

関村:
そうですね。そうですけど、予定より面白いこととかありますからね。セリフは変わってないけど、演技の具合とかで予定してたより面白いこととかありますよ、そういう時はたまらないですね。ゾクゾクします。

今回もそういうことがありますかね?

関村:
それは誰にもわかりません。ま、なんていうか、予定の時点でどこまで面白くできるか、っていうね、まずはそこですから。それに、予定してたより面白くなるかどうかは、お客さんにもよりますよ、やっぱり。

お客さんも関係ありますか?

関村:
ありますよ。やっぱり、客席の雰囲気の影響っていうのは出ますよ。ミュージシャンのライブで、ミュージシャンが「イエーイ!」って言ってもオーディエンスが「イエーイ!」って言わなかったら、絶対盛り上がらないでしょ。芝居の場合は、そこまでわかりやすくはないけど、こう、楽しもうっていう姿勢で見てる人が多いほうが面白くなりますよ、どうしても。うちは特に、気軽に見て面白がってもらおうと思ってるタイプの団体だし。

そういえば、あひるなんちゃらさんは「感動しない芝居です」って言っちゃってますよね。それはなんでですか?

関村:
僕が感動するタイプのドラマも映画もそんなに好きじゃないっていうだけなんですが。あ、厳密には、感動するのが嫌いなんじゃなくて。この映画は感動します、みたいに言われると嫌なんですよ。感動するかどうかこっちの自由でしょ、っていう。その理論から行くと、もしかしたら感動しちゃうかもしれないから、感動しないって言い切っちゃうのも問題あるんだけど。感動させようと思って作ってはいません、っていうのが正確なところですね。

感動させたくないんですか?

関村:
させたくないっていうのとも違うんですけども。感動させよう、って思ってやるのって、ずいぶん偉そうじゃないですか?

そうですか?

関村:
わかんないです。でも、まあ、僕はそういう風に思っちゃうからやらないです。っていうか、観に来てくれた人が感動するよりも、観に来た人が愉快な気分になってくれるほうが嬉しいんで。

ここまでお話を聞いて思ったんですが、芸人になろうと思ったりはしなかったんですか?

関村:
あー。うーん。あんまり思ったことないですね。

思ったことないですか。

関村:
いや、でも、どうかなあ。20年くらい早く生まれてたら芸人目指してたかもしれないですね。

ちょっとこの流れで、あひるなんちゃらさんについての、私の疑問に答えてもらおうと思うのですが。

関村:
あ、はい。え?なんか苦情とかですか?

そういうのではありません。

関村:
よかった。

まず、料金が2000円ですよね。3月にある公演もそうですけど、毎回そうですよね。それって大丈夫なんですか?

関村:
大丈夫とは?

いや、同じくらいの規模の劇団は、もうちょっと高くないですか?

関村:
あー。まあ、あの、それこそ、気軽に観てもらいたいんで、そういう値段にしているというか。かといって、さすがにこれ以上は安くはできませんけども。ねえ。すみませんね、演劇NAVIさんにも値引きのチケット出せなくて。っていう、ギリギリの計算のもとにやってる値段なんで、まあ、大丈夫です。

そうですか、安心しました。

関村:
自分は商売のセンスがないんだろうなあ、と思いますけどね。たまに、バカじゃないの?って自分で思うことさえありますよ。でも、まあ、うん、値段はしょうがないです。

では次の疑問なんですが。最近は、下北沢でばっかり公演をされてますけど、何かこだわりがあるんですか?

関村:
変ですか?

変ではないですけど、ちょっと気になりまして。

関村:
場所はあれですね。制作スタッフが、デートのついでとかに観に来てもらいたい、とかそういう思いがあって決めてるみたいです。あひるなんちゃらは芝居もそんなに長い時間やらないし、デートのついでとか、そういうなんですかね、ちょっとした感じで寄ってもらったほうがね、僕もいいと思うんで。もちろん、芝居だけ観に来てもらってもいいんですけど。そういうバランスを考えるとちょうどいい場所だと思います。

今、ちょっと話に出ましたけど、上演時間の長さも、こだわりありますよね?毎回、70分ですよね。

関村:
それは、こだわりあります。って言ってもたまに80分の時もありますけども。とりあえず、長くても80分までにしたいなあ、と思ってますね。

それは何故ですか?

関村:
芝居をやる時に、こう、これくらい笑えればいいなあ、という目標があるとして。その目標を達成できたとすると、80分以上あったら、疲れちゃって、最後のほうは、みんな声を出して笑わなくなる思うんですよ。っていうのと。僕は60分くらいしか本当に集中して芝居を観れないんですけど、実際みんなそんなもんだと思うんですよ、人間の限界って。だからその限界にちょっとだけ勝ちたいなと思って、70分とか80分にしてます。

なるほど。意外とマジメな理由ですね。

関村:
あ、つい、マジメに答えてしまった。ま、でも、一番は、気軽に観に来れる状態にしておいて、たくさんの人に観て欲しいっていうところですね。マジメになっちゃったから、そろそろ違う話しません?

そうですね。でも、あんまりお芝居と関係ない話をしてもあれなので。

関村:
さっき、好きな食べ物とか聞いたくせに。

確かに。

関村:
でも、まあ、芝居の話をしたほうがいいですよね。

そうですね。でも、ちょっと趣向を変えましょう。えっと、今、関村さんは、脚本と演出と役者とやってますけども、将来的にはどれを中心に活動していこうと思われてますか?

関村:
あー、将来の話ですか。これね、ブログかなんか書いたことあるかもしれない話なんですけども、いいですか?

かまいませんよ。

関村:
昔、占いをしてもらったことがあって。それは、当時お付き合いしてた彼女が占ってもらいたい、っていうから、まあついでに僕も占ってもらったんですけど。渋谷かなんかの路上にいた占い師に。で、いざ占ってもらうと思ったら、わりと本気になっちゃって「僕は今、演劇をやってて、脚本書いて、演出をして、役者やってるんですけど、どれを頑張ったらいいですかね?」っていうようなことを聞いたんですよ。そしたら、その占い師がね「どれか1つにしたら、どれにしても成功します。」って言ったんですよ。超当たり前っていうか、当たり前でもないけども、そりゃどれか1個に邁進したほうが成功する確率は高いだろうよ、っていうね。そんなことを言われたことがありまして。結局、あれから何年も経つけどまだ全部やってるっていうね。だからね、そろそろ誰か決めてくれないかなあ、と思ってます。

自分ではどれとかないんですか?

関村:
どれも面白いですからねえ。あとね、できれば、コラムとか書きたいんですよ。なんていうか、それこそ、ちょっと読んで楽しんでもらえるような文章をね、書く仕事もしたいんです。誰か仕事くれないかなあ。

それか1つにしぼるどころか、選択肢が1個、増えちゃってるじゃないですか。

関村:
ね。困るよね。や、でもね、マジメな話、コラムとかが一番向いてると思うんですよ。

演劇を頑張りましょうよ。

関村:
演劇も、もちろん頑張るけど。僕のできることで一番、仕事になりそうなのがコラム的なことのような気がするんですよ。本当、誰か仕事くれないかなあ。超募集中ですって書いておいてくださいよ。

書きませんけど、今の発言をそのまま載せておきます。

関村:
やった!お仕事の依頼は、あひるなんちゃらの 問い合わせメールアドレスまで!もちろん、演劇の仕事も大募集中ですよ!

芝居よりコラムが好きな人みたいになってますけど。

関村:
そんなことないですよ。いや、あれなんですよ。あひるなんちゃらのチラシの裏に最近、毎回文章を書いてるんですよ。

あの、長い。

関村:
そうあの長いヤツです。それを書くのが、なかなか楽しいんですよ。読んだ感想とか聞くと嬉しいんですよね。だからね、いいなあ、と思って、コラムみたいの。

やっぱり、芝居よりコラムのほうが好きな人みたいになっちゃってますけど。

関村:
いや、本当、演劇も好きですから。よし、じゃあ、演劇の話をしましょう!

…そう突然、言われると、困りますね。…あ、では、ここまで、他の劇団さんとかの話をしてなかったので、面白いと思う劇団とか教えてもらっていいですか?

関村:
面白いと思う劇団ですか。

ここが好きな人は、あひるなんちゃらを観ても楽しめるんじゃないか、というような。逆でもいいですけど。

関村:
面白いと思ってるから、似ないようにするので、うちとは全然方向性が違いますけど。「MCR」と「乞局」は面白いと思います。どっちも僕らと年代が近い団体ですけど、もっと若い劇団のほうが人気があったりして、悔しいので、どっちかが異常に売れたりしないかなあ、と思ってます。

そのもっと若い劇団で面白いと思う劇団ってありますか?

関村:
うーん。そうだなあ。僕が観た中では、どれくらいの若さなのか知らないけど「ろりえ」が面白かったです。1回しか観に行けてないんですけど。いつも面白いことやってんだろうな、って思いました。

他には?

関村:
いやー、キリがないんで、これくらいで。あんまりたくさんあげると、ほら、ね、知り合いなのにあそこだけは名前があがんなかったとか。ほら、めんどくさいことになりかねないですし。かといって、嘘もつけないし。

確かにそうですね。他にも面白いのはたくさんあるよ、ってことですよね。

関村:
はい、そういうことにしておいてください。

そういうことにしておきます。そろそろ最後の質問をしたいと思います。

関村:
あ、はい。

3月2日から6日にある公演「まあまあだったね。」はどんなお話なんでしょうか?

関村:
あー。最後、それか。

何か不都合なことでも?

関村:
いや、どんな話かっていうのをね、説明するのが苦手なんですよ。あとね、ほら、結局宣伝かよ、みたいな感じになっちゃいますし。

でも、結局宣伝ではありますから。

関村:
そうですけど。テレビとかでも、結局宣伝かよ、ってイライラする僕ですからね。

まあ、そこは我慢していただいて。これだけ公演に直接関係ないことが多い記事も珍しいですよ、演劇NAVIでは。

関村:
そうですか、じゃあ、はい、我慢します。

で、どんなお話なんですか?

関村:
でも、なんで、こんなに嫌がってるのかっていうと。あらすじが面白そうじゃないんですよ、僕の脚本って。

そうですか?

関村:
ええ。なんかね、たぶん、僕の脚本の書き方が邪道だからだと思うんですけど。

詳しく聞かせてください。

関村:
脚本の書き方を誰に習ったわけでも、なんかで勉強したわけでもないから、我流なんですよね。脚本を最初から順番に書いていくんですよ。終わりとかも決めないで。

終わりも決まってないんですか?

関村:
まあ、なんとなく、こういう感じかなあ、とかはあるけど、書いてる途中で考えてるんです。これね、あれなんですよ、週刊雑誌とかで連載してる漫画の描き方に近いと思うんですよ。連載っていつ終わるかわかんないし、終わりたくても終われなかったりするから、そういうふうにストーリーを考えてるんじゃないかなあ、と。

こんなところに漫画の影響が。

関村:
そう、出てるんじゃないかなあ、と思うんです。で、しかも、話の筋なんかどうでもいいと思ってるところがあって。

どうでもいいんですか?

関村:
100%どうでもいいとは思ってないですけど、別にストーリーだけを見せたいと思って書いてるわけじゃないですから。でも、あらすじってよく聞かれるんですよね、いつも困ってるんです。演劇って不思議なことに、演劇を観る人にも観ない人にも、あらすじが必ずあると思いこまれてるんですよ。でも、例えば、面白い4コマ漫画があるんですよ、って言われて、あらすじ気になります?って話で、あらすじなんかどうでもいい芝居は絶対にあるんですよ。

なるほど。

関村:
サザエさんのあらすじなんて、サザエさんとその周辺の人たちがいろいろする、以外に言いようがないじゃないですか。

たしかにそうですね。

関村:
それと同じなんですよね。という前振りをした上で、あらすじを言うと。

あ、言ってくれるんですね。

関村:
いや、いちおうストーリーありますから。でも、あらすじを聞いて興味を持てなくても、あひるなんちゃら観たことない人はどうか、試しに1回観に来てほしいです。っていう、前振りだったわけです。

では、お願いします。

関村:
今は禁煙になっちゃった喫煙所で男たちが宇宙の話をしたり、そこに宇宙飛行士が来たり、宇宙とは全然関係ない話をしたりする話です。

なかなか漠然としてますね。

関村:
そうなんですよね。まあ、でもね、こういう芝居があってもいいじゃないですか。

そうですね。あひるなんちゃらさんのそういうなんというか、つかみどころの無さみたいのがクセになるっていう感想を聞いたことがありますよ。

関村:
そうですか、それは嬉しいですね。とりあえず、本当、気軽に観て、笑ってもらえれば、それ以上の喜びはないですよ。本当に。
まあまあだったね

たくさんお客さんが来るといいですね。

関村:
はい。でも、このあらすじを聞いたら、まだ脚本が完成してないんじゃないか、って思われそうですね。って、今、自分であらすじを言ってて思いました。

確かに。もしかして。

関村:
実は出来てません。

え?

関村:
いや、嘘です。本当に出来てますから。信じてください。

信じます。

関村:
よかった。